にんにくガーリック

元気に小説を書きます。水曜日のお昼ごろ更新の予定。このブログの内容は、特別な記載がない限りフィクションです。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

長く綺麗な髪を梳かす

何ヶ月も何年も行列として並ぶ美しい髪々。雨を受けては列が乱れ、風を受けては飛ばされそうになり、そんな日々の一夜を覗いてみた。 櫛を手に持ち、髪をだらりと垂らす。大人しく重力に従って垂直なものは少なく、お転婆に絡まり合って曲がりくねる。 髪の…

強風で傘が曲がった

雨が振っていても、今日はこれから出かけるのだ。犬の模様が描かれた傘を抱え、家から飛び出す。高級品とは言えないものの、3年以上も、私を雨から守ってくれたお気に入りの傘だ。 その傘にとって危険なのは、叩き鳴らす雨ではなく、押し揺らす風。風に対し…

カントリーマアムを食べる

棚の中に待つ暗黒、その狭い入り口を手で弄り、無雑作に織りなす触感のひとつ、その一部を2本の指で捕らえた。白日の元に晒された小袋を持ち去り、私の特等席へと運び出す。 赤色の袋、不確かな色覚が赤として知る色をまずは目で楽しむ。象牙色の飾り文字を…

【二次創作】龍装チュリスが龍装する前の話

「あんた何者で、特技は何だい?」「ね、ネズミ族で名前はアラン・チュリシー。で、特技は、えーっと‥‥」「おいおい、特技も無しに親分に会いたいってのかぁ?」 どこに行っても取り柄のないネズミへの風当たりは強い。自覚するほど腰は重いし、特別な技もな…

昨今の流行、勇者の言葉に対する魔王の答え

底の見えない断崖を背負い、魔王の居城が歓迎する。 扉をくぐると目の前には一面の階段、そしてその先から声が届く。「いらっしゃいませ。どのようなご用件かな」 穏やかな歓迎に対し、「いよいよこの時が来たな、魔王!」勇者の言葉が天井高くまで響く。 「…