にんにくガーリック

元気に小説を書きます。水曜日のお昼ごろ更新の予定。このブログの内容は、特別な記載がない限りフィクションです。

二次創作『オラクル教団の日記』

二次創作『オラクル教団の日記』

 指導者を失った教団が崩壊し、辛うじて繋
ぎ止めた者らを率い、あてのない放浪をして
いた。物資も底をつきかけ、商店がなくては
財の無用さがのしかかる。
 かつてはこの地に街があったものだ。教団
を憎む無法者が暴れまわったために、街から
街への道が伸びた。道の飾りに廃墟が加えら
れたのだ。遠くに見える都市の楼閣は記憶よ
りも遠く感じた。

 ふたつの人影が見えた。こちらに気づいて
いるようで、元気な様子で向かってくる。近
づくと姿がはっきりと見えた。小柄な双子の
少女だ。目立つ荷物もなく薄着のようだ。ま
だ近くにも家があるのだろうか。
 跳ねるように目の前に着くと、互いに機会
を持てるよう分担して話を始めた。
「おや、こんな辺鄙なところに」
「よもや倒れそうな御一行」
内容に対して様子は元気だ。廃墟の間近では
人と出会う機会も少ないのだろう。
「聖なるあなたも救われるのです」
「邪なるあなたも救われるのです」
背後で建物の壁が崩れ、ひとつの黒い像が現
れた。廃墟が持つ雰囲気に呑まれてなお神々
しい、オラクル教団の偶像だ。
「君たちも教団の者なのか。我らが神に導か
れる、オラクル教団の」
問いかけると顔を見合わせ、短く答えた。
「そうでしょうとも」
「ご覧あれ」
 白昼の荒野に影が落ちた。背後から偶像が
飛び立ったのだ。

 信仰を同じくするように見えて、決定的に
異なるもの。現れたその偶像の動きは、はる
かに有機的であった。
 黒い身が咆哮する。よく知った偶像に見る
銀色の面影は残るが、やはり有機的な声には
違和感があった。
 誰もが正気を疑った。あるいは、狂気こそ
を尊ぶようにも見えた。その咆哮に呼ばれる
気配があるのだ。

 教皇に先立って修道女の一人が慈愛の防護
壁を展開した。異教とあれば易々と通しはし
ない。目に見えはしない、しかし確実にそこ
にある魔術の障壁は、これまでも教団を守っ
てきた。
 呼ばれるように、銀色の輝きと共に、座し
たまま動く女神像が現れた。観察するように
一帯を見回すと、嘲るように黒龍の手を取っ
た。その手の重なりを中心に、魔術的に輝く
紋様が浮かび上がった。
 教皇はこの紋様を見たことがあった。旧指
導者が同じように、個々でも活動できる両腕
として使役していた。それを継ぐ者もあっ
た。若い弟子のイズモだ。
 旧指導者の弟子との再会かもしれないので
あれば和平への道もあろう。教皇は攻撃し追
い返すよりもよい策を思いついた。
 一行は防御を固め、その場に跪き、イザナ
イの力を見せた。教団の魔術は易々と真似で
きるものではない。乱心していても味方とわ
かるだろう。
「優雅なティータイムへ招待しますわ」
時間と空間を超えて呼び出された教団員は捧
げ物を提示する。これも教義のひとつだ。

 紋様が割れるように分かれ、空間を歪める
ように、件のイズモが現れた。その表情は教
皇の記憶とは大きく異なった。亡くした旧指
導者は、彼にとってはそれ以上、家族のよう
だった。教皇よりも大きな衝撃が変えてしま
ったのだ。イズモが左手を離すと、その先に
新たな偶像が生まれた。

 教皇は一歩引き下がった。イズモは乱心し
ているのか、あるいは何か目的があるのか、
行動や表情からは読めなかった。まるで迷宮
だ。答えがない以上、座して考え直す時間が
必要だった。その間もイザナイの魔術でさら
に信徒を呼び出す。
 停滞した気配の中に、ひとつの答えがやっ
てきた。

 空を黒く染め、空気を押し込み、最大の巨
体が舞い降りた。その姿はかつてなく異様そ
のものであった。長く逞しい尾を持つが龍で
はなく、優雅な翼を持つが天使ではなく、蛇
の頭で肩を飾るが悪魔ではなく、あるいはそ
れらを鋳潰した姿はこうなるかもしれないと
思えた。
 イズモを中心に蠢き、混ざり合った。
 黒光りする巨躯が彼らを、味方同士でさえ
も品定めするように舐めては吐き捨てた。
 その様子は常識で理解できるものではなか
った。神的な存在感でありながら有機的な身
体が凶暴性を顕にする様は、見ているだけで
も彼らにこそ深く爪痕を残した。
 彼らにとって神とは救いを齎すもの。定命
とは異なるもの。
 胸から喉へ不快感が溢れた。一つや二つで
は足りない。もっともっと。空になるまで。

 本を閉じ、スナップボタンを留めた。
「ってことがね、その昔、あったんだよ」
「おばーちゃんの小さい頃は大変だったんだね」
信じきることのない、遠い日のこと。
 台所の暖簾が揺れる。
「あんまり思い出すものじゃないね」
「りんご! ありがとう!」
「今年は湯のみもちゃんと4人分ありますよ」
過去を想像できない現在を創造した、その事
実は家族を満たすに充分であった。

 登場カード
聖邪のインガ スパイス・クィーンズ
真滅右神 ラウドパーク
光姫左神 サマソニ
逆襲の神類 イズモR
邪妃左神 バンバーシュート
堕天左神 エレクトラグライド

マントラ教皇 バラモン
慈愛のマントラ フリル
マントラのイザナイ カリーナ
シンクロ・シールド
王姫のイザナイ ロイヤルティー
ジャスト・ラビリンス
停滞の信徒 ブリトニー・ステイシス
信心深きコットン

 未登場カード
特攻人形ジェニー
純白の翼 キグナシオン
護神のインガ イヌハッカ
支配のオラクルジュエル
ブレイン・ストーム
勝利の女神ジャンヌ・ダルク
害悪のカルマ スタバック
真実の名 リアーナ・グローリー
DNAスパーク

コンボ解説
《イズモR》の攻撃時にゴッドを出そう。
すると《エレクトラグライド》を一旦離して再リンクできる。
繰り返す度に山札を削っていくぞ。
中央GリンクのイズモRを増やして、
何度も再リンクしよう。

《シンクロシールド》《ジャストラビリンス》でイザナイをタップし
よう。
《カリーナ》が《ロイヤルティー》を呼び、
それぞれが同名カードを呼ぶ倍々ゲームになるぞ。
増やした後は、圧倒的な物量で乗り込もう。

手札の光臨先クリーチャーを《ブレインストーム》で山札に戻そう。
それと同時に手札の不要なカードを戻して、
光臨で切り直す。
手札の内容を強化できるぞ。
後にシールド追加能力を使うときも、
運良くSトリガーが置かれる確率が高まっているぞ。

私のゲーム記事ブログもあります。
http://key37me.hatenablog.jp