にんにくガーリック

元気に小説を書きます。金曜日のお昼ごろ更新の予定。このブログの内容は、特別な記載がない限りフィクションです。

【二次創作】龍装チュリスが龍装する前の話

「あんた何者で、特技は何だい?」
「ね、ネズミ族で名前はアラン・チュリシー。で、特技は、えーっと‥‥」
「おいおい、特技も無しに親分に会いたいってのかぁ?」

 どこに行っても取り柄のないネズミへの風当たりは強い。
自覚するほど腰は重いし、特別な技もない。
ネズミ族の中では力自慢ではあれど、
身体の大きな猿人族にはとても敵わない。

 だからといって、日々を無為に過ごしはしない。
出遅れはしたものの、流行の技を身につけた。
バッド・アクション・ダイナマイト。
一時的に本来の限界を超えた速度で動き、
しかし時間切れになると自らの身を滅ぼす。
スリルと踊る大技だ。


「またあんたか。改めて聞くが何者で、特技は何だい?」
「ネズミ族で名前はアラン・チュリシー。バッド・アクション・ダイナマイトを身につけたぞ」
「おいおい、まさかそれだけか!? ここにいる奴らは全員できるぜ。
しかもあんたより速いとか、もう一捻りあるとかだ」

それでもなお癒しは遠い。
身軽さではるかに上回るネズミ族の破舞くん、
さらなる合わせ技を見せる猿人族の陽々くん、
ライバルは数え切れない。

 この頃、"罰怒"グループが揃って武闘会に行くことが増えた。
血の気の盛んな男たちが、全力の技を競い合う。
メンバーにも加われず1人で行くわけにもいかず、
いつしかそんな武勇伝をただ聞く役となっていた。

 ある夜、突然すべてが嫌になって目的もなく飛び出した。
歩き慣れた道も夜になるとその姿は変わり、
不気味な怪物たちが跋扈する。

そんな夜道を不思議に照らす洞穴に気づいた。
覗きこむと1頭の化石が、誰かに用意されたように佇む。
古の時代を生きた巨体、ドラゴンの化石だ。
友人のギークによると、彼らは化石となってもなお強い意志が残り、
龍装車の材料に便利で採掘場も多いという。

ひらめいた。
これまで聞かされた武勇伝の中にたびたび、
"ドラゴンの骨を纏う強者"が現れた。
それはただの骨ではなく、不思議な力が湧いてくるそうだ。

じゃあ目の前にある化石となった骨を、自ら身につけたら?
もちろん特別な装置は持っていないので、
龍装車のように万全ではないかもしれない。
しかしこれまで誰が試したという話もなく、今すぐにできることだ。
失うものだって何もない。

 唾を飲み込み、手を伸ばす。
熱いのはかの骨か手か、鼓動はますます早まるばかりだ。
頭蓋の砂埃を払って抱えあげ、深い窪みと頭を重ねる。

骨に残った意志が叫んでいる、ような気がする。
龍爪を取り小さな両の腕に回す。
熱気はもはや身体中を包み、
燻るなど勿体ない。

行こう。
道は目の前にある。

陽炎の残る足跡は、雑多な足跡と合流し、武闘会の門へと続いた。


・・・

「おいおい、伝説のドラゴンがもうお出ましだぜ!」
「あそこにいたのネズミ族じゃないか? 見失ったが」
「あいつら何者で、何が起きたんだ!?」