にんにくガーリック

元気に小説を書きます。水曜日のお昼ごろ更新の予定。このブログの内容は、特別な記載がない限りフィクションです。

【二次創作】禁断機関 海底工廠の意思

【二次創作】禁断機関 海底工廠の意思


 遥かな地上で巨人が目覚める。
海底のさらに深く、誰も知らない秘密の工廠。
目覚めの衝撃はどこまでも届き、
技術家たちがここに集う。

「巨人と戦う武器を持て」
「巨人が扱う武器を持て」
「巨人の足止めをせよ」
「巨人の露払いをせよ」
四方を向いた発想を絡め、技術家は腕を高めあう。

やがて彼らは共通の目標を掲げた。
こちらも機械の巨人を作ろうぞ。


 計画は順調に進んだ。
巨人の胴体はすでに完成し、残るは四肢の完成を待つだけだ。
繊細な関節部、これまでに興味を持ったことのない構造。

毎日のように何かしらを作っていた者が、
たった1本の右脚を完成させるまでに5日を費やした。
その甲斐あって、安定させる技術を確立させ、
指揮の下で3日もあれば完成するだろう。

光明が見えたところ、緊急の連絡が届く。
巨人に立ち向かう何者かが、ここ工廠へと向かっているのだ。
仲間ではなく、技術屋ではなく、この場を知るもの。
それは邪魔者に違いない。
遅れて届いた映像も、その考えを肯定した。


 防壁を下ろせ、侵入者を分断しろ。
先陣を切る獣の1頭を第2区画に捕えた。
あとは二酸化炭素で窒息させてしまえばよい。

聞き馴染みの声が安堵を伝える。
この防壁は強度はもちろん、化学反応にも強い。
侵入者の最期を見届けてやろう。

しかしモニターは予想外を映した。
前後からずれて挟む連携で、鋏で紙を切るように、
鋼鉄の防壁を破る轟音。
都合のいい連携も、破るほどの力も、
想定をはるかに超えたものだ。

続いて短く言葉が届く。
「achakiwanda!」
誰一人として理解しない、技術家たちとは無縁の言語。
とは言えど、行動が言葉よりも雄弁に意思を語る。

「邪魔はさせないがな、帰らせる前に名前ぐらいは聞いてやろう」
わずかばかりの時間を利用し、
整えた兵器の群れが迎え撃つ。

「zinaranguniputyourhandsup」
伝わっているか伝わっていないか、
お互いにどちらでもよかったのだろう。
兵器群の多くは小さな豆鉄砲と目もくれず、
巨躯は第2の障壁へと飛びかかった。


 予想外の来訪を受けて障壁の奥では、
巨人の組立作業が進む。
3日で組み上げる予定を3時間に短縮し、
熟練者がネジの締め直しで高速化させて見せたため、
誰も不平なく動き始める。


 完成を目前にして、障壁が破られた。
巨人への一撃を、残した重機で受け止める。

次の一撃を待たずに咆哮する。
耳から足まで貫く轟音は、敵も味方も区別がない。
禁断機関が動き出したのだ。

時が曲がる。時間が変わる。
我らが巨人は高速で移動するのか、
それとも時の流れがそう見せているのか、
結論はまだ遠かろう。
まずは成功の歓びを、目の前にいるかつての邪魔者と共に分かち合おう。
もう邪魔はできないのだから。

そして我等が科学の支配する新世界へ。


記録書

07/5-1
右脚を完成させた。
関節部の構造には苦心したが、もうそれも終わり、
あとは共有した設計図の通りに組むだけだ。

07/6-1
野蛮人がやってきて、急ピッチでの作業を余儀なくされた。
機関にはクレイジーな奴しかいないとは言え、
3日の予定を3時間に圧縮するのは流石に堪えた。
しかし、ネジを締め直すだけで機械の動きがよくなるなんて、
まだまだ技術は進歩する。
身につけよう。

07/6-2
ついに俺たちの巨人が動き出したその瞬間の操作を離れていたのは残念だがおかげで最後の右腕を自力で取ったように見えたロマンがあって運がいいとも言える

07/9-1
毎日の記録をつけているはずだが、機械の故障か?
それとも疲れて寝込んでしまっていたか。
全員で一斉に寝込むとは考え難い。
機械の故障と考えたほうが自然だろうな。
些細なことなので近いうちに直しておこう。

22/22-8
日付の自動入力がおかしい。
それに今日の記録はまだ1件目だ。

22/22-8
試しに連投してみる

22/22-8
やはりおかしい。
同じ日に8番目の記録がいくつもある。
この数字は何か意味があるのか?

22/22-8
01/12/12
06/15/18
15/14/05