にんにくガーリック

元気に小説を書きます。金曜日のお昼ごろ更新の予定。このブログの内容は、特別な記載がない限りフィクションです。

【三次創作】イッシュ地方を包む閃光

【三次創作】イッシュ地方を包む閃光

 

 シッポウシティ・カフェ ソーコ

賑わう昼下がり。
喧騒で話を隠すにちょうどいい。
ひとつだけ残る空席に、2人の女性が荷を置いた。


注文を済ませて片方、黒髪のリエが先に話す。
「あんたが恋バナに誘うって珍しいね」
高校で出会って以来、恋バナはいつもリエから振っていた。


赤髪のソフタは顔まで赤くし、一目惚れの日を思い出す。
「こっちに悪いプラズマ団が集まってるから気をつけてって、教えてくれたの」

 


リエは感心を強く見せて、見てくれから求める。
「どんな人? マッチョ?」

 

「マッチョよりは、スリムかな」
聞かれる前に続きも言おう。
「鼻から顎まで隠れるマスクをしてて、長めの前髪がこう、ひょこってしてるの」


ジェラートに手をつけないまま、
身振り手振りも交えて伝える。

 

ひと通りの分かったことや悶々とする思いを伝えると、
リエは早くも空となったケーキ皿にフォークを置き、喋り始めた。
「それじゃあ早速、ヤグルマの森に行ってタブンネ占いしよう!」

 

タブンネ占いについて説明しだす。
来週の雑誌に、特集記事を寄稿したこと。
野生のタブンネを恋のチャンスに見立てていること。
1日の1番目に出会ったらすぐに動くといいこと。
1日の2番目に出会ったら近いうちに機会があること。
タブンネのおかげで結ばれた夫婦がいること。
特別に加えて、その夫婦は兄の友達ということ。


「ヤグルマの森って、危ないって聞いてるけど‥‥」
不安を見せる肩を叩き、
「野生のポケモンぐらい大丈夫だって。
ソフタは強いポケモンを連れてるんだし」

 

言いながら立ち上がる。
「私は花でも摘んでるから、ゆっくり食べていいよ」
すでに決まったように話を進める。
ソフタはこの決断力を見習おうと思っていたが、
自分の話でも頼ることになった。
いい友人を持った喜びをジェラートの味に足す。

リエが戻るころには、ソフタも出る準備が整っていた。

 

 横に並んで、ヤグルマの森に入る。
ざわざわと木々の揺れる音に包まれて、
2人ぼっちになってしまったように、ソフタの不安を駆り立てる。
それを見て勇気づけるように、
来週にはタブンネ占いをする人で賑わうだろうな、
と小声で話しながら進むと、すぐに深い草むらが見えてきた。


 草むらが揺れる音を聞きつけ、静かに近づく。

タブンネが現れた。
いきなりタブンネと会うのはいい兆候だよ!
リエは小声で耳打ちをして、早々と踵を返す。


小枝を踏む音が2人の場所を教えて、
すぐにタブンネは逃げ出してしまった。

 


「どうしたんだろう」
誰に向けるでもない、ソフタの疑問。
タブンネが見せた、怯えるような表情を見逃さなかったのだ。


リエは辺りを見回す。
「待って、向こうを歩いてるのプラズマ団じゃない?」
ソフタが顔を向けた時にも、木の裏側の道へ進む姿だけは見えた。



 真っ先に気づいたリエが先導し、反対側に逃げる。
しかしその先にも、何人もの悪いプラズマ団が待ち受けていた。

 

「おうお前! 感心だな!
強いポケモンを置いていけばもういいぞ!」

 

悪い集団から1人が歩み寄り、太い腕が伸びる。
ソフタは思わず目を瞑り、しかし予想した衝撃ではなく、
細い腕が、膝の裏と背中で抱えていた。


 目を開くと抱えるのは細身の男、件の一目惚れ相手だ。
数メートルといった所か、わずかな距離だけを運ばれて降ろされる。
男はすでに息をあげていて、短く言う。


「もう大丈夫だから、静かに逃げてネ」
目を服に向けると、間違いなくプラズマ団の制服だった。
そしてもうひとつ気づいたこと。あまり離れていないのに、
悪いプラズマ団たちの姿が見当たらない。
ソフタは口を開きかけるが、
それを立てた人差し指で遮って続ける。

 


「おれのことは忘れて、気をつけて帰ってネ」
言い終えるとすぐ、
名前も言わないまま足元から姿を消した。

 


ゾロアーク、おかげで助かったヨ」
最後に声だけを残し、
夢や幻ではないとだけは伝えてくれた。

 

 

リエはその日から、連絡がつかないままだ。
記事はブログにも雑誌にも変わらず載っているので、
元気ではいるらしい。
身の心配ではなくて、他の事情かな。

 

 

そして一目惚れの相手。
彼は「おれのことは忘れて」と言うが、
忘れる日はまだ来ない。



---
この三次創作物について、大元の作品および関係各者各社とは、
「私が作品を好き」以外での関係はありません。
この文言は三次創作作品(本小説)の読者から見て、一次創作や二次創作物の関係者ではないか、
といったもしもの勘違いを防ぐ目的で念のため書いたもので、
相手方からの感想やその他を無視する意図ではありません。