にんにくガーリック

元気に小説を書きます。水曜日のお昼ごろ更新の予定。このブログの内容は、特別な記載がない限りフィクションです。

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『正義の海域フジツボシャーク』

『正義の海域フジツボシャーク』 豪華客船への招待状を送った。もちろん本命はこの中の1通だ。 サークルで世話になったあの子と運命的にロマンチックな再会をする、これが果たすべき使命なのだ。 表向きには姉の結婚式としている。しかしそのついでに、同窓…

『エスカレーターを歩いた奴は死刑』

『エスカレーターを歩いた奴は死刑』 コウサクはコールド・スリープから目覚めた。予定通りの2037年、この時代ならば治療技術も確立しているだろう。自力で氷山を降り、都市を探した。恐竜が見当たらないためか、歩きやすい道のりだった。 コウサクの目に飛…

2306字『危ないオバサン』

『危ないオバサン』 今月もバーゲン・セールが始まった。埼玉デパートが誇る世界最大の駐車場都市はワゴン車で埋め尽くされ、各地から集まったオバサンが睨み合っている。今年はデパート側も想定外の、熱線による無差別爆撃がある。これを生き残るため、本来…

『続 働かざるもの食うべからず』

『続 働かざるもの食うべからず』 前回http://tamanegionion.hatenablog.jp/entry/2018/08/03/135836 ムカデ人間の社長・月宮巳甘は歩きながら物思いに耽っていた。社員を取り巻く状況はすでに順調で、ここからさらに上を目指すには。散歩コースからひとつ隣…

『3次創作 アークライト教授の部屋』

『3次創作 アークライト教授の部屋』 律儀な3回ノックでドアが開いた「失礼します、アークライト教授」句点まで打って手を休め、顔をあげた。「俺の研究室に何の用かな?」「はじめまして、私はソフタ・イフカイノといいます」教授の返事は素っ気ないものだ…

『美女とモルディギアン』

行列を尻目に関係者口を通った。森下結衣は控え室へと向かう。胸を張って、道の真ん中を堂々と。駆け出しだろうと、心は一流のベテランのつもりでやれ。先生の教えをよく守っている。 ノックして扉を開けた。空いた椅子が多く、荷物もない。演者らしき者は2…

『脱いだらすごいんです 2』

『脱いだらすごいんです』 高嶺の花だと思っていた彼女と隣の席になってしまった。皆はビールや日本酒を注文する中、彼女は恥ずかしそうにウーロン茶を頼んだ。お酒が苦手でもいいんだと言い合う中、僕は悪いことをしているような気がした。無理して飲みの席…

『ゴゴゴゴンベエ』2話(全4話)

『ゴゴゴゴンベエ』2話(全4話) 大会の受付時間。これまでは理由もなく参加していなかったが、仲良くなったボウの思い出を聞き、興味が出てきたのだ。普段のローリングCでは大会をしていないので、別の店へと出向いた。ゴンベエとボウは一緒にエントリーを済…

『正義の球拳 フジツボクサー来日』

『正義の球拳 フジツボクサー来日』 フジツボクサーが日本にやってくる。その知らせに誰よりも慄いたのは吉本光一だ。幼くして両親を亡くし、養護施設で育てられた。格闘技の試合中継を楽しんでいたが、フジツボクサーだけは、事故を強烈に想起させるので見…

『パンを食った少女』

『パンを食った少女』 槍を支える兜の下で、蛇のように鋭い眼がさらに鋭く光った。「そこな少女よ、立ち止まれ。抱えたバスケットの中身を見せてもらってもよろしいかな」声をかけられたと気づくと、エレンの脚にさりげなく力がこもる。傷みこそあれど生地を…

東京都練馬区の守護者、ネリマスター

『東京都練馬区の守護者、ネリマスター』 (この物語はフィクションです。) 春は別れと出会いの、終わりと始まりの、新生活の季節だ。相原よしおもまた校門の前で写真を撮り、クラス分けを確認し、2組へ向かう。ここには見知った名前が1人しかいなかったので…

『ヤドカリプス 地球最大の生命』

『ヤドカリプス 地球最大の生命』 宿を借りるからヤドカリなど過去のもの。今では平野(ヤード)を駆るからヤドカリだ。 ロケット・エンジン点火!現代ヤドカリの間では速さと技術を競う、P1グランプリが定着している。整備されたサーキットを3周する時間を競…

正義の炎弾 フジツボルケーノ咆哮

『正義の炎弾 フジツボルケーノ咆哮』 フジツボたちが炎を吐いた。海中でも構わず燃えさかる炎が、かつての天敵イボニシを料理する。 フジツボは元々、移動を伴わずに生殖相手に届くため、大海原でも名の知れる長い生殖器を持っている。その隣にもう1本2本と…

『クレヨン国民、移ろう時代を眺める』

『クレヨン国民、移ろう時代を眺める』 クレヨン国民は怒っていた。誰もが万全な準備を整えているまま、出番もなく飼い殺しにされ続けている。最も信頼されていたと自負するレッドは、これまで渡り歩いた地に想いを馳せ、最後に王と出会った日を振り返った。…

カビキラーキラー

『カビキラーキラー』 クロカビ次郎は考えていた。同胞を殺すための兵器、カビキラーによって数多くの仲間が失われていった。チャノマ・グラウンドから極地まで、カビ一族による世界征服を邪魔立てする敵を制圧する。やがては実現する目標のため、あらゆる手…

【二次創作】龍装チュリスが龍装する前の話

「あんた何者で、特技は何だい?」「ね、ネズミ族で名前はアラン・チュリシー。で、特技は、えーっと‥‥」「おいおい、特技も無しに親分に会いたいってのかぁ?」 どこに行っても取り柄のないネズミへの風当たりは強い。自覚するほど腰は重いし、特別な技もな…

昨今の流行、勇者の言葉に対する魔王の答え

底の見えない断崖を背負い、魔王の居城が歓迎する。 扉をくぐると目の前には一面の階段、そしてその先から声が届く。「いらっしゃいませ。どのようなご用件かな」 穏やかな歓迎に対し、「いよいよこの時が来たな、魔王!」勇者の言葉が天井高くまで響く。 「…

アーケイヴンの酒場

片側が外れたウェスタンドアの先に、酒盛りをする集団と離れて、歌人がひとり竪琴を構える。月光に照らされた特等席が、特別な存在と醸し出す。歌人は新たな来客を認めると、着席を待って口を開いた。 はるかな昔、はるかに遠く、翳り輝く異国の地。ある男の…

【二次創作】超次元温泉ガロウズ堂 2018年の商い

超次元温泉ガロウズ堂。かつてパンドラスペースと呼ばれた地を改造し、広大な慰安観光施設へと作り変えたという。中でもVIP専用施設、殿堂の間は、時と次元を超えてあらゆる風景を一望できる露天風呂を構える、絶景ポイントとして噂が流れていた。 咲き誇る…

喫茶 囁き

コーヒーを飲みながら、人の囁きを聴く。喫茶店を渡り歩き、所によって異なる人の傾向が、新しい視点を貸してくれる。 物事に行き詰まったとき、こうして視点をリフレッシュすると、思わぬ解決の糸口が見えてくるのだ。 今日は都会の日曜日、カップルが近く…

固有の超能力で争い以外をする話

固有の超能力で争い以外をする話 目覚まし時計が騒ぎ出す。たかし小学3年生は目覚まし時計に屈せず眠ろうと頭まで布団で覆う。が、母親の参戦により布団を失い、あえなく起きるのだった。 コーンフレークと牛乳の朝食を済ませて、会話もそこそこにランドセル…

【二次創作】禁断機関 海底工廠の意思

【二次創作】禁断機関 海底工廠の意思 遥かな地上で巨人が目覚める。海底のさらに深く、誰も知らない秘密の工廠。目覚めの衝撃はどこまでも届き、技術家たちがここに集う。「巨人と戦う武器を持て」「巨人が扱う武器を持て」「巨人の足止めをせよ」「巨人の…

【三次創作】イッシュ地方を包む閃光

【三次創作】イッシュ地方を包む閃光 シッポウシティ・カフェ ソーコ 賑わう昼下がり。喧騒で話を隠すにちょうどいい。ひとつだけ残る空席に、2人の女性が荷を置いた。 注文を済ませて片方、黒髪のリエが先に話す。「あんたが恋バナに誘うって珍しいね」高校…

仲良しトリオの女子会 ヘテロとビアンと、これから知る者

仲良しトリオの女子会 ヘテロとビアンと、これから知る者 第4日曜日の、午後1時30分。3杯のパフェを並べ写真に収めて、女子会の本番が始まる。「今月もがんばりましたの会、乾杯っ」客入りのまばらな時間帯なので、控えめな挨拶。そしてスプーンがパフェに向…

保安官ジミー、幼少の決意

保安官ジミー、幼少の決意 銃声ふたつと、短い悲鳴ふたつ。ベッドの下に隠れるジミーにも届いた。食事の途中、強盗が押し入る音を聞き、寝室に隠れるよう言いつけた両親はそのまま入ってこない。ジミーは届いた音から想像してしまう。ベッドの下に隙間は片側…

イワシスターズ 海底教会の福音

イワシスターズ 海底教会の福音 海底に建物が増えた。元は陸だった面影もなくなり、小さな亀裂を出入りできる小魚の住処となった。この狭い入り口が大きな魚を拒むので、食事に困らない間は、イワシたちが外敵のいない束の間の安息を味わう。内部は不規則に…

火弾の嵐! 狂乱のガソリン・スタンド

火弾の嵐! 狂乱のガソリン・スタンド 知っていることがある。 汲み取られた友は暗く狭いタンクに押し込められ、燃え尽きるまで人知れず機械を回すのだ。 知っていることがある。ポリ容器に連れられた友は、ある時は燃えるその熱を取られ、ある時は悪行の片…

【二次創作】カバレージ風創作デュエル カバまろ vs ニコル・ボーラス

【二次創作】カバレージ風創作デュエル カバまろ vs ニコル・ボーラス 埼玉県飯能市。自然に溢れるこの街で、1頭の生き物が立ち上がる。視線の先には金色の龍。「カバですメエ」誰に向けるでもなく、小さく呟く。正午の太陽はちょうど、湾曲した角の1本で隠…

悪魔将軍の休日

悪魔将軍の休日 地獄界72丁目。並ぶ家々のどれもが巨大になり、来客をまず迎えるのはさらに巨大な宮殿、悪魔将軍邸だ。新米配達員、矮小人間富岡はこの地区の担当を言い渡され、悪魔将軍邸への荷物を載せたバンを走らせてきた。 玄関の扉1枚だけで、彼の住む…

ブラック人間とホワイト死神 ── 第2話 魔弾の出社

ブラック人間とホワイト死神第2話 魔弾の出社 いくぜ。 「ねえ人間、君の勤め先はこの立派な百貨店かい?」「先にやることができたんだ。あと死神、マネキンにローブを着せるのはやめろ」常に一定の距離を維持する死神を引きずり、紙と封筒を買って、ベンチ…