にんにくガーリック

元気に小説を書きます。水曜日のお昼ごろ更新の予定。このブログの内容は、特別な記載がない限りフィクションです。

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『正義の海域フジツボシャーク』

『正義の海域フジツボシャーク』 豪華客船への招待状を送った。もちろん本命はこの中の1通だ。 サークルで世話になったあの子と運命的にロマンチックな再会をする、これが果たすべき使命なのだ。 表向きには姉の結婚式としている。しかしそのついでに、同窓…

『隣の遠景見聞録』

『隣の遠景見聞録』 今回の主な登場人物・タマエモンザブロウ:ねこ・男性・月宮巳甘:ムカデ人間・女性・森下結衣:グール・女性 たまえ・1 土を破り出づる白と茶に輝く毛並みが立ち上がった。 スラリ長い四肢を獅子のごとく誇るその名はタマエモンザブロウ…

『続 働かざるもの食うべからず』

『続 働かざるもの食うべからず』 前回http://tamanegionion.hatenablog.jp/entry/2018/08/03/135836 ムカデ人間の社長・月宮巳甘は歩きながら物思いに耽っていた。社員を取り巻く状況はすでに順調で、ここからさらに上を目指すには。散歩コースからひとつ隣…

『美女とモルディギアン』

行列を尻目に関係者口を通った。森下結衣は控え室へと向かう。胸を張って、道の真ん中を堂々と。駆け出しだろうと、心は一流のベテランのつもりでやれ。先生の教えをよく守っている。 ノックして扉を開けた。空いた椅子が多く、荷物もない。演者らしき者は2…

『働かざる者食うべからず』

『働かざる者食うべからず』 新しい社訓は「働かざるもの食うべからず」だ。入社と同時に社長が変わったので、去年までに調べた内容が一気に覆った。何が起こるか考えたくもない。しかしいきなり転職活動をする勇気があるわけでもない。やってみて、厳しかっ…

『ダチョウ人間を討て!』

『ダチョウ人間を討て!』 表彰台を頂まで登る感覚が全身に焼き付いている。滴る汗も、筋肉を揺さぶるリン酸も、すべてを忘れて勝利に酔い痴れた日。1ヶ月が過ぎても、2ヶ月が過ぎても、部屋に戻ると思い出す。 それ故に、底なしの怒りが沸きあがる。大規模…

アーケイヴンの酒場

片側が外れたウェスタンドアの先に、酒盛りをする集団と離れて、歌人がひとり竪琴を構える。月光に照らされた特等席が、特別な存在と醸し出す。歌人は新たな来客を認めると、着席を待って口を開いた。 はるかな昔、はるかに遠く、翳り輝く異国の地。ある男の…